予備水槽の飼育環境に慣れてきたチンアナゴたち、次はいよいよ展示水槽に
移動を待つばかりです。

現在、展示水槽の準備が着々と進められています。
展示水槽は大水槽の熱帯系(水量約120㎥)

ご存知の方も多いチンアナゴですが、実は繁殖生理や行動については謎の部分が
多く、ほとんど解明されていません。
同じアナゴ類のマアナゴは、ニホンウナギと同じように南方へ産卵回遊を行い、
そこでふ化したレプトケファルスが黒潮系の流れで日本沿岸へ運ばれて来ている
と推定されています。
しかし、チンアナゴは多くのアナゴ類と違い、砂地に穴を掘り定住している可能
性が高く、そのため産卵回遊を行っていない可能性があるんです。
今回の展示では、一度砂に潜ったチンアナゴがどのように移動行動をするのかを
調べることから開始して、チンアナゴの繁殖生理及び行動を解明する手掛かりと
したいと思っています。そのため、広く移動がスムーズなエリアを確保し、自然
界と同様に群で飼育をおこなうことにしました。
今回の試みの重要な要素である群の大きさですが、過去に安定飼育できた密度を
基に、今回飼育する水槽の底面積より算出した結果、800尾の群を作ることとし
ました。
水槽で飼育する場合、必ずしも少数飼育が良い訳ではなく、特に群れを作る生き
ものに至っては、ある程度の数で群れを作ることも重要と考えています。 (K.M.)